2025年のお盆は、例年になく“濃い”時間でした。
父が亡くなったのは、お盆前のタイミング。年に一度の超繁忙期目前という中で、気持ちの整理もつかぬまま、梅乃葉は戦闘態勢に突入。そして、そんな矢先の翌日、今度は須佐の観光振興を牽引してきた行政職員の方が、急逝されました。
須佐男命いかという地域ブランドを立ち上げ、梅乃葉が“イカ屋”として軌道に乗るまでずっと支えてくれた方。まだ若く、信じられない気持ちのまま——
さらに、追い討ちのように、当店キッチンスタッフから「このお盆を最後に辞めます」という、突然の申し出。(外国人だったんですけど、)
もう、心はジェットコースター。感情のアップダウンに振り回されながらも、なんとかお盆営業を乗り越えた……そんな、魂が半分抜けかけた店長が、旅に出ました。はい、温泉です。
「コンパクトで、めちゃくちゃ良い!」有福温泉にて
まずは島根の有福温泉へ。 宿泊ではなく、散策と昼ごはん目的の立ち寄りでしたが、これがもう… コンパクトで、レトロで、すごく良い!
今度は泊まりで来ようと、しっかりメモしました。小さな温泉地って、やっぱりいいな。
そのまま、目的地の温泉津(ゆのつ)温泉へ早めにチェックイン。町並みの散策が楽しく、瑞風も立ち寄るだけあって、古いけど華のある、良い雰囲気。
宿の湯も絶妙な温度で、本当にいいお湯。食事もおいしく、ようやく身体がほぐれていくのを感じました。
神社と龍と海神楽の話
温泉津で密かに気になっていたのが、「海神楽」。 実は須佐の海神楽を始める際に、参考にさせてもらったのが、この温泉津の神楽だったんです。
地元の人が「この場所でやる神楽は、ほんとに感動するから見て!」と口を揃えるロケーション。 ただ残念ながら、ここ数年はコロナや天候に恵まれず、中止が続いているとのこと。
でも、あの“絶賛する顔”を見ると、これはいつか絶対見に来よう、と心に刻みました。
さらに感動したのが、「龍御前神社」。 名前の由来になった“龍の頭に見える岩”が本当に見事で、その真下に建てられた旧社殿のたたずまいも含めて、じわりとくる風景。
翌朝もう一度見たとき、本当に龍の顔にしか見えなくて、なんだか心が静かに満ちるような、不思議な感覚でした。
出雲&日御碕で、まさかの“ウニ丼事件”
2日目は出雲方面へ。さらに足を延ばして、日御碕へ。
目的はただひとつ——食べログ食堂百名店「花房」さんのウニ丼!
実はちょっと斜に構えてました。 「夏ウニの旬、終わってるしな〜」「ちょっと観光客向け感、強いかな〜」などと思ってた自分を、往復ビンタしたいくらい。
普通に、うまい!!!
ミョウバン感ゼロ。味落ち感ゼロ。 なのに、このボリューム!この品質!なぜ!?
・・・普通に他地域産のウニも仕入れるそうですし、島根県からはキタムラサキウニもとれるようですし。あ~そういうことか!と納得。もう一つのウリなのかとなりにはイクラ丼がある。流石にいくらは地元産じゃないだろう。(そこで、気づけばよかった。)
しっかり歴史と仕入れ力を感じましたし、何よりお客様の満足を最優先に考えて構成されているな、というプロの姿勢に学ぶこと多し。 勉強になります。ごちそうさまでした。
その後は出雲大社参道で、お約束のぜんざいと、ちょっとしたお買い物タイム。島根旅行、大満喫でした。
リフレッシュ完了。活イカも、ぶとくなってきた?
心身ともにヘトヘトだった今回の夏でしたが、ようやく一呼吸。温泉と街歩きとウニ丼の旅で、ちゃんと気持ちの切り替えができた気がします。
そして、営業再開。活イカたちも、なんだかちょっと太ってきていて…… 「え、これは“ぶといか”じゃないの!?」と思うような食べ応えのあるサイズ感に。
秋・冬へと向かうこの季節、イカも、お店も、少しずつ次のフェーズへ進んでいきます。
改めまして、ご来店・ご支援、本当にありがとうございます。
新たな気持ちで、またがんばってまいります!