4月からのメニュー刷新を機に
4月からのメニュー改定を機に、新たな「イカ刺し」メニューが入る事になりました。当店が活イカを提供し始めて以来、頑なに提供を拒んできた「イカ刺し」を、自信を持って解禁するメニュー「剣先イカ霜造り」です。
「楽しさ増量作戦期間」終了
11月から3月までは、天候による悪路の影響や活イカがないであろうというイメージもあって、活イカも含め多くのメニューラインナップを用意し、「楽しさ増量作戦期間」としていましたが、4月からは、一旦、季節のメニューを中心にメニュー数が減ります。
又、ご高評を得ていた剣先イカ一夜干し「ほろ酔い干し」の炭火コンロの無料サービスも、一旦、通常通りに戻ります。(炭火オプション価格370円(税込))
沢山の方に楽しんで頂き、当店の「ほろ酔い干し」&「北大路魯山人風炙り蒸し」の味わいを知って頂けてうれしい限りです。(もちろん、今後も提供し続けます!)
「活イカ」漁を取り巻く状況の変化【背景】
スルメイカの漁獲制限についてニュース報道がありました。ケンサキイカには制限は出ていませんが、漁獲量は同様にどんどん減ってきています。

活イカ漁となるともっと顕著でして、生きたまま漁獲するため、ほぼほぼ、小型船となり、波がちょっと荒れれば出港できず、漁獲割合も更に減ります。
そこにきて、異常不漁などが頻繁に起こるようになっており、もう、海洋生態系の変化は著しく、漁獲漁場(水揚げエリア)の移動なども近年は珍しくありません。
ケンサキイカの漁獲地域も年々北上しており、北陸から東北まで上がってきてきて、スルメイカの漁獲制限の影響もあり、現在、ヤリイカ・ケンサキイカの市場価格が高騰し始めています。
当店が22年前に活イカを提供し始めた頃とは全く状況が変わっているということです。
一周回って辿り着いた技術
なぜ拒むんだ??
活イカの入荷がない日というのは、天候の影響や漁の不調、単純な売り切れ、などなど、生き物ですから当たり前なんですが、20年以上昔から普通に存在するんです。
ですが、そんなことはお客様にとってはわかりにくいことですので、「あるのが当たり前」という前提でいらっしゃる方が大半でした。
そして、極一定数の方からこう言われるのです。
「活イカがないなら、普通のイカ刺しとかないのか!?」
「なんでもいいから、冷凍したイカ刺しとかはないのか!?」
・・・・・・(^^;)。。。。。
最近こそ、少なくなりましたが、以前は、結構な頻度で要求されました。
もう、ここまでくると、それを提供したとして、残る印象や人づたえに「梅乃葉でイカを食べた」=「須佐男命いか(活イカ)ってことかな」=「普通のイカ刺しだった。たいしたことなかった」と感想を言うであろうことは想像に難くないと思いましたので、活イカ以外のイカ刺しは、お店では一切提供しないようにしていました。
「須佐男命いか」という地域ブランドを立ち上げ、一生懸命になっている漁師たちが、「このイカの味を伝えて欲しい」(活イカの魅力を伝えて欲しい)という気持ちからすると、当時の私としたら、活イカの価値を誤認させるような料理を出すべきではないと判断したからです。
又、生鮮で水揚げされるイカというのは、当然、季節や天候・漁によって、価格や身質が違い、安定した素材品質や価格でないことに加え、冷凍保存技術というのも一般的な機器でしたので、高い商品性を担保できないという背景もありました。
22年のキャリアと技術革新と素敵なお客様
近年は漁獲の低迷・資源の枯渇・異常不漁に悩まされていますが、とうとう、昨年は、1年のうちの約半分の6ヶ月間は活イカの入荷がないという事態となり、お客様に随分御迷惑をおかけしました。
ある時、色々なことがきっかけで、ふと、拒み続けていたイカ刺しの提供品質を飛躍的に上げられる技術・設備・仕入ルートをすでに持っており、そして当時配慮していた「お客様の誤認」というのが、実はすでにしにくい背景・環境ができていることに遅ればせながら気がついたのです。(本当に一周回ってという感じで今更なんですが。。。)
特に、誤認しにくい背景・環境とは、当店をご愛顧くださる多くの素敵なお客様によって作られてきた「活イカってこうだよね」という「仕入」や「季節・天候」による影響を含めた価値の常識が広く広がっていったという背景・環境のことでして、これは、本当に感謝しかありません。
「剣先イカ霜造り」がすごい理由



梅乃葉が満を持して提供を開始するイカ刺し料理です。
「活イカ」(須佐男命いか)というのが、剣先イカの希少性や生きているイカの身質(透明感・踊り食い・食感など)を楽しむ感動・エンターテイメントだとすると、
「霜造り」は、剣先イカの味わいに重きを置いたイカ刺しの深み・広がりを楽しむ料理です。
※当店身内やスタッフは、活イカよりこちらの霜造りの方が好きという意見もあります。
【素材】剣先イカ霜造りは、常に最良の剣先イカの身を提供いたします。

【選べる食べ方】&無料オプション
無料オプションという形で、2つのプラスアルファの食べ方を提案しております。味に重きを置くイカの食べ方ならではのバリエーションをお楽しみください。
①サラダ風オプション
梅乃葉オリジナルの「はちみつゆずポン酢」と「夏みかんとお米のトロトロ発酵ソース」をお付けし、あしらいに野菜サラダを添えております。霜造りのイカと野菜をサラダ風に楽しんで頂けます。
②アジア風オプション
無国籍料理界のレジェンド「熊谷喜八」氏のご指導で生まれた梅乃葉オリジナル調味料「葱だれ」をお付けし、あしらいに白髪ネギを添えております。霜造りのイカと葱を和えて頂き、韓国風・エスニックなマリネを楽しんで頂けます。
◎基本の調味料とあしらい
オプションではなく、必ずお付けしている調味料・あしらいとして、
- 醤油「萩の地醤油」:※九州山口独特の甘みのある醤油です。イカとの相性の良い醤油です。オススメはしませんし表記もしていませんが、どうしてもという場合は小豆島産濃い口の本醸造醤油をお出しできます。(ただし、味わってもらいたい味ではありません)
- 萩の塩:地元萩市で作られる天然の海塩です。
- 山葵&生姜&レモン:山葵(わさび)しょうゆも良いのですが、やはりイカには生姜(しょうが)があいます。醤油だけでなく、塩と生姜で(お好みでレモン)召し上がるのもオススメいたします。
※他にも食べ方提案はあるのですが、やり過ぎ感があるのでやめておきます。
【剣先イカ専門店ならではの細工】
霜造りの名前の通り、イカの身を熱湯にくぐらし、氷水で冷ますという霜降りをしております。
これは昔からある技法で、食感を良くし、加熱した部位の旨味を活性化させる技法です。(そのやり方にもイカ屋ならではのツボがあります。)
更に、こまかく・多めにスリット(切れ目・隠し包丁)を入れており、イカ刺し自体も、細めに切っております。
イカに切れ目を入れたり、刺し身に切れ目を入れたりと、一般的によくある技法ですが、意図によって、多少の違いが出てきます。
活イカは、活イカならではの食感を楽しんでいただくために最適なスリットと切幅にしていますし、何より透明感を楽しんでいただくために早く提供することが必須なため、細工に時間をかけることはできません。
ですが、霜造りは剣先イカの美味しさを堪能してもらうために、舌の上にあたる面積を増やし、旨味を感じやすくさせるバランスを意図して、霜降りにて張りのある身でありながら、口の中で旨味が広がるイカ刺しを楽しめるようにしています。
これを、イカの胴(筒の部分)だけでなく、旨味の濃い「頭」「下足」「エンペラ・耳」といった部位も同様に細工し、盛り付けております。
こういった技法を駆使し、剣先イカに最適なバランスの細工で、天候に左右されず最良の素材でいつでも提供できるというのが、こんなに田舎の小さな飲食店でありながら可能にしてしまうのが梅乃葉のポテンシャルであること、
そして、懸念されていた活イカの価値を誤認させてしまう背景が変わっていることに、22年かけて一周回って気が付きました。気づくのが遅いんですが(←ホントそれな)
ぜひ、活イカ共々霜造りもお楽しみ頂き、ご愛顧いただければ幸いです。