3日間の京都-奈良の旅
ちょっと、所用で奈良に行くことに。家族4人(嫁&娘*2)でです。
そのついでに京都で時間をとって以前より行きたかったお店などを食べ歩きに行けないかと考えました。
もちろん、勉強のためですが、先日、KIHACHIのムッシュから受けた「もっと多くの良いお店に食べに行ってみるといい」というアドバイスもあってか、ちょっと今回はじっくり考えました。
おぼろげながら捉えてた他店食べ歩きのテーマを、今回は明確にし、選択する優先順位をつけ、膨大な数の関西圏飲食店の中から選びました。
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飲食店人力サーチ ( ̄へ ̄|||) ウーム
ホームページ・クチコミ・個人ブログレビュアー・本など(もちろん、KIHACHIの店舗もチェック!)・・・
で、忙しさや決めるのが遅すぎたのもあって出発前日でようやく決めたのはいいんだけど・・・・、
一番行きたいお店はたまたま休日で電話がつながらない。その予約の取れ方(日程)によって他のお店の予約がずれてしまうので、結局、まったく予約なしの状態で当日を迎えることになりました。
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京都で一番予約が取れない店「なかひがし」
今、京都で一番予約が取れないと言われるお店が「なかひがし」さんです。ミシュランで星を取られてからは、更に困難になっているそうです。銀閣寺前にある哲学の道のたもとにお店はあります。
美山荘の先代とご兄弟でいらっしゃるご主人(中東氏)の草喰料理の名のごとく、花脊の山野草や野菜を中心とした、創造性豊かな至高の料理。いじらず、素材に直球で、繊細な味わいを楽しませてくれます。
10年以上前に知って、行きたいお店No1に居続けた、個人的に行くことが夢と化していたお店でした。(今まで行けなかったのは、きっと、行く動機に切実性や具体的性が欠けていたんだと思います。。。)
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で、そんなお店なのに、当日まで予約をとっていないというバカ。
普通ありえないです。(知ってる方は、先ず呆れるでしょう。)
嫁も、行きたいお店として「店名」を言うと、即答で「無理やろ!」とのこと。
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でも、なんか、内心取れるような気がしてたんです。(←まったく根拠はないんですがw)
しいて言えば、早めから入る予約は、土壇場のキャンセルや変更も結構あるという勝手な推測。
で、行きの新幹線の中から早速電話!
※予約開始日には、電話がつながらないとまでクチコミに書かれていました。。。。
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奇跡的な空きと嫁の優しさ
先ずは、当日のランチ狙い!
電話は意外にもすぐつながり、ランチの席の空きを恐縮しながらも聞いてみる。
「ああ・・・申し訳ございません。本日はいっぱいでございます。。。」
※おそらく調理場の若いスタッフでした。丁寧で、言い方が優しい対応。
電話の応対からお客様へのサービススタンスが感じ取れました。
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やっぱり無理か・・・と諦めかけたところ、
「本日、夜でしたらキャンセルが出て空きがございますが。。」
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「俺って、やっぱりついてる!!」
ちょっと、自分の運の良さに興奮!
そう思いつつ、クチコミではOKだった子供連れについて確認をとってみると・・・・・・・・・・・・
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「申し訳ございません。小さいお子様は、最近はご遠慮して頂いておりまして・・・・・」
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「ガーン!」
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終わった・・・
電話を切って、駄目だったことを嫁に話すと、
優しい嫁は・・・
「一人で行っておいで。子どもと先に宿に行っておくから」
(; ̄Д ̄)・・・・・と、なんとも胸の熱くなることを言ってくれるではないですか!
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昔から言ってましたからね、「なかひがし行ってみたい」って。
「この機会に行っておいで」と言う嫁の好意に甘えて、再度電話をし、予約を取りました。
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なかひがしに学ぶ
予約は6時から。何回も地下鉄を乗り換えて、更に歩くこと30分。(後で気がついたけど公共交通機関ならバスが手っ取り早い。)まあ、歩くのは好きだけど、京都、( ̄_ ̄|||)暑すぎ。。。。
入店すると、すぐにカウンターとオープンな調理場。
そこにはすでにご主人もおられ、調理をされていました。
私の写真では、盛り付けもわかりにくいと思いますが、もちろん、素晴らしく、勉強になりました。
夏の旬の素材がなかひがしによると、こういう世界になるんだという、ひたすら感銘を受ける自分もいました。素材使い、調理法、あしらい、何より気持ちの良い丁寧な接客、すべて勉強になります。
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ただ、私が学びを求めていたのは、なかひがしの料理をそっくり真似することでも、アレンジをするためでも、ありません。知らない京野菜や使ったことのない素材を体験することでもありません。
行けばわかりますが、同じ素材で同じ献立を別の店で提供しても、献立の背景にある芯がないというか、存在しえないので、まったく意味が違ってきます。
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一つ一つ料理の説明を丁寧にしてくださる、ご主人と調理スタッフ。気さくでジョークを交えながら質問にも気安く応えてくださるご主人の姿勢。その会話の端々に、私が学びたかったご主人のスタンスを垣間見ることが出来ました。
なかひがしの料理は、京都の山間にある「花脊」(はなせ)という地の山野草や野菜、川魚、琵琶湖の素材・・・・といったブランド化された京野菜でもなんでもなく、田舎にある天然自然の恵み・素材を使われます。そのご主人の素材へのこだわりというか、敬愛は献立の中の素材使いにも表れています。
どういう思い・考えで、この「なかひがし」の料理が存在しているのか。
料理人として、私が学びたいと思っていたのは、なかひがしの世界観を確固たる技術に裏付けられながら培ってきた中東久雄氏の姿勢そのものでした。
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しかし、多くを語らずともご主人の人間性がそのまま料理に表れているのを感じ、私が学びたかった、いや、学ばなきゃいけないことの入り口が見えた気がします。なんとも口にも脳にも夢心地の食事でした。
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メインディッシュは萩産
今回の食べ歩きのテーマの1つは、「ご飯」。
おくどさん(かまど)で炊く白米とおこげがメインディっシュと言っちゃうご主人自らよそってくれます。
漬物数種の他に並ぶのは、目の前の炭火で焼かれためざし。
ご主人が、「あ、これ萩産なんですよ。」と教えてくれた。(それまでの会話で、萩から来たと名乗っていたので)意外な出所にこちらもびっくり!食べてて、普通のめざしだなあ~なんて思っていたら、いつも食べてる同じものだったとは(笑)
萩産うるめいわしが京都「なかひがし」のメインディッシュに添えられている。
ミシュランの星も付く名店が、地元で慣れ親しんでいる「いわし」を使用しているなんて、金太郎君や甘鯛君みたいには叫ばれなくても、地力で評価されている素材の力に改めて、ポテンシャルの高さを感じました。
いや、もともと、北浦でも阿武郡産のいりこやちりめんなどは、かの道場六三郎も認めて評価していたと言われるほど、品質も高く、青物系は結構凄いんですけどね。
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恍惚の人
お店を出て、宿についても、得た感動や気付きは、脳内をしびれさせ続けました。
様々な思い・考えが巡り、自分の足元を照らしてくれるように、
明快でシンプルな応えがそこにいてくれます。
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簡単な応え。そして、途方もなく続く、これからの勉強と努力の道筋。
思わず顔が、にやけてしまいそうになる(←いや、既ににやけてる)引き寄せに、感謝です。
もちろん、この機会を作ってくれた嫁さんに感謝です!
ありがとう。
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やっぱり、俺ってついてる!!
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