活イカを超える食味!「剣先イカほろ酔い干し」の世界観。

毎年恒例!?( ̄◇ ̄; イカの異常不漁が始まっています。

もう、あれですね、「やっぱりそうなの?」的悲哀感が漂う漁港ですが、

昨年で免疫がついている分の衝撃はなく、
むしろ、そういうフェーズに突入している日本近海の水産資源の状況を、
「前提」にしてゆかねばならない覚悟だけは、
備わってきた感じです。

時化も多いし、出漁しても不漁という苦境の漁師たちのためにも、
何ができるか、昨年考えていたことを、
本年は、コロナ禍でありながらじわじわと進めてきました。

 

で、そんな思いを結実させてくれるかのような、
ひとつのきっかけが、近日中に発表となるとある大きなご依頼。
(ご報告しますね)

 

その中にも登場する料理のお話です。

梅乃葉の「剣先イカほろ酔い干し」って何さ!?

【剣先イカ ほろ酔い干し】高鮮度な剣先イカに、「東洋美人 純米大吟醸」を塗布しながら、特殊な低温乾燥方法によって、ソフト干物状態(※ありがちな表面だけが過乾燥の干物とは違い、素材の中からしっとりと水分を揮発させる特殊技術です。)の一夜干しに仕立てた梅乃葉オリジナルの一夜干しです。

過去、高島屋さんのカタログ宅配でも販売させて頂いたこともありました。

 

活イカがあると、皆様、活イカを目当てで来られるので、
そのインパクト・存在感に、
他の料理の存在が目に留まらないことがほとんどなのですが、

(確かに、1人で活イカと同時に両方食べるというのは、きついですしね)

 

これは、常々、うちのメニューのPRの仕方に原因があるな~とも思っておりまして、
犯人は自分だな!wと自覚しつつも、なかなか、メニュー表示を変える時間もないまま、
ずるずると過ぎておりますが、

まあ、それはおいおいやるとして(←これが原因(笑))

 

活イカよりも断然うまい(店長談)!

今日は、改めて、今後、うちの主軸となる料理のスタイルの一端をご紹介というか、だらだらとつぶやいておきます。

正直言いますと、個人的には、活イカよりも断然美味しいと言い切っていますw。(一部のコアなお客様にはいつも言っていますwし、ブログでも紹介しています)

 

北大路魯山人風「剣先イカほろ酔い干しの炭火炙り蒸し」

この料理の凄さ・違いを3行で表すと・・・

  1. 一夜干しの原料が凄い(違う)!
  2. 一夜干しの製法が凄い(違う)!
  3. 北大路魯山人風の調理法が凄い(違う)!

です。

1.一夜干しの原料が凄い(違う)!

イカの女王と呼ばれる「剣先イカ」の凄さを、
日本中で認知されていないのが、ある意味すげえなっていつも思うのですが、

この剣先イカの特徴や良さは、一般的常識で言うと甘味や旨味の強さです。
ただ、ここに補足が入ることで、些末な他のイカとの比較がどーでもよくなります。

それは、
鮮度の良い(活イカもしくは扱いをきちんとした)剣先イカであることで別格になる
ということです。

これについては、かの美食・陶芸家の北大路魯山人も言葉として残しています。

「肉厚のすみいかやアオリイカが認められて、やりいか(剣先イカ)はやすっぽく扱われているが、新しくさえあればやりいかほど小味で、微妙な美味しさをもったものはないのである。生きているヤリイカの皮を剥いで刺身として食う美味は、すみいかやアオリイカの刺身の比ではないのである。しかし、知る人の少ないのは惜しい。・・・・・」

イカは魚類ではありません。むしろ貝類に近い性質の生物です。

余談〉魚のように、熟成する酵素を体内に持っていませんので、(寝かして熟成させたと言っている熟成屋さんの論理は、論理不足です。)旨味が増すということはありませんし、脂質がほとんどありませんので、魚のような「脂がのった」というわかりやすい表現もあたりません。旨味成分もイノシン酸とは別の、様々な旨味が複合して味わいの素が存在します。

アシもはやく、その旨味の強さゆえに、鮮度が落ちれば、匂いも強くなり腐敗臭に変わる速さも魚より速いです。

なので、鮮度の良い状態のイカを、どう扱うかが肝となります。

〈余談〉その点で、須佐の一本釣り船団の漁師達は意識が違います。直接お客様と接触する機会が多いからです。良いものを渡してあげようという気持ちは、相手が見えることから生まれるからです。直売市などで、おしゃべりするお客様に触れ、又、当店などのような事業者と直接取引することで、お客様の様子がわかるからです。

一本釣りというまさに素材を生かす漁法で、とった活イカとは、そんなイカの扱いの上でも最上の状態であると言えます。

剣先イカの鮮度の目安

生鮮の剣先イカの鮮度の良し悪しを見る簡単な方法は、「皮の色」と、「皮がきれいに残っているか」どうかです。

皮を通して、透明感が残っており、小さな赤や青色の色素細胞が点滅しているように見て取れる。明るく輝いているのは虹色素胞(にじしきそほう)というもので、これが、輝いていると鮮度感をわかりやすく感じることができます。透明→赤→白→乳白色という感じの色味の変遷で、鮮度を判断します。

又、剣先イカの皮は、非常に繊細で、ずり剥けやすいのです。スルメイカなどは、逆にゴワゴワするくらい強力な強さもありますが、剣先イカの皮の弱さは、釣り方やその後の扱いで、破れやすさに繋がり、身へのダメージにもつながります。綺麗に皮が残っているというのは、良い釣り方をしたことと、扱いの良さにも繋がる前提条件のようなものなのです。(スーパーなどで皮が剥いてあるのは、皮が破れ、見た目も悪く、鮮度感の悪いのがばれてしまうからです。)

ほろ酔い干しは、剣先イカを皮や耳(エンペラ)の部分を付けたまま(皮を綺麗に残したまま)干しあげる一夜干しのため、そもそも、鮮度の良い + 皮が綺麗に残っている原材料を使用しているのです。

2.一夜干しの製法が凄い(違う)!

温度が上がるとき、素材の中にある水分は、外へ揮発するように動きます。
逆に下がるときは、素材の中の水分は、素材の中に戻ろうと働きます。
その温度帯をコントロールしつつ、上下を繰り返すことで、
素材の中からしっとりと、水分を揮発させるという、独特の低温乾燥法で造ります。
通常、一般的な一夜干しの製造では、機械乾燥や天日(回転)乾燥などでも、
素材の外側(表面)に風が当たり、表面からどんどん乾燥させます。
なので、表面は過乾燥状態、中は生に近い状態という、水分の偏りがありますが。

 

その点、ほろ酔い干しを作るときの低温乾燥法では、
その水分の偏りがなく、
素材の中心部からもしっとりと水分を減らした状態の仕上がりとなり、
焼いた後などの柔らかさ・しっとり感に違いが出てきます。

 

更に、仕上げに、
日本酒(地元の銘酒「東洋美人・純米大吟醸」を使用)を塗布して干しあげることで、
焼いたときの芳醇さ独特な柔らかさが秀逸な一夜干しになっています。
お酒の効果を優しく残すことから、
当店独自のこの商品製法を「ほろ酔い干し」と呼んでいます。

 

皮つきの剣先イカで、ほろ酔い干しで仕立てた、
剣先イカのポテンシャルを最大限に生かした、最高峰のイカの一夜干し、
梅乃葉オリジナル商品です。

 

 

3.北大路魯山人風の調理法が凄い(違う)!

北大路魯山人が残した調理法の一つで、
炭火で失敗しない一大秘訣として、この方法があります。
大変、理にかなっており、実際、その効果も抜群なこの方法。
更にそれに創意工夫をして現在も、活イカのオプションとして提供しているのが、
炭火コンロの「炙り蒸し」です。

なんのことはない、炭火の上で、蓋をするだけです。(笑)
ただ、これがやろうと思うと、色々難しいのですがw、
バーベキューでは、そんな道具ありますよね。

 

梅乃葉では、お客様自身が、炭火コンロでイカを焼くオプションサービスを
もともとしていましたが、蓋を用意する前は、大きめのアルミカップを用意して、
同じ効果を狙ってやっていました。(覚えている方もいるかな?)

 

なぜ、この方法が良いのか?
ずばり、
早く火が入ることで、無駄に水分を飛ばさせず、無駄に焦がさせない。
覆われることで、適度な湿度感が、素材の表面にしっとりと水分を残し、
やはり、無駄に焦がさせない。
下側の炭火の遠赤外線で炙りつつ、
上部蓋からの輻射熱や、覆われた熱い熱気で、蒸されます。

 

平たく言えば、ご家庭の魚焼きグリルやスチームオーブン的な空間ですね。
それが、炭火の力で、素早く焼けますので、手軽です。
更に、梅乃葉の炙り蒸しが凄いのは、日本酒の力を足しているからです。
活イカの提供時のオプションの時は、
日本酒そのものをお出しして、ちょっと浸したイカの身を炙り蒸しにして頂きます。
日本酒の効果は絶大で、すぐにその芳醇さが、鼻こうをくすぐり、
イカの身はぷりっと柔らかく炙り蒸しされます。

ほろ酔い干しは、既に日本酒が沁み込んでいるので、

炙り蒸しするだけで、同じ効果が得られます。

<余談>生のイカを炙り蒸しするのと、一夜干しを炙り蒸しするのとどう違うのか?ということを、以前、お客様に食べ比べをして頂いてアンケート集計したことがあります。どちらが美味しいというより、好みの差で分かれますが、6割以上の方が、一夜干しの方が、香ばしさと旨味の強さがある支持され、生のイカを支持された方は、ぷりぷり感(水分の多さからくる違い)が良いとされました。

なかなかご家庭でも、やれそうでやれないこの炭火コンロの炙り蒸し、

もし、ご家庭でやる場合は、炭火のある方がそうお考えでしょうから、
蓋ができるものを、ご用意ください。ステンレスのボウルでも良いのですが、
扱いづらく、火傷にご注意ください。

 

簡易的には、魚焼きグリルで上等です。是非!

 

 

しかし、相変わらず、読む気の失せる長文だな。。。。スミマセン

店長:福島 について

山口県萩市須佐の料理屋「口福の馳走屋 梅乃葉」店主
カテゴリー: グルメ, 地域の名品, 東洋美人, 活イカ タグ: , , パーマリンク

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